ZK通信

BNR32 GT-R T88仕様 HKS CRANK ANGLE SENSOR CONVERSION KIT 取付け&セッティング

遠く福岡の方よりお問い合わせを頂きBNR32GT-RにHKSクランク角センサーコンバージョンキット(メーカHP)の取付け&セッティングをご依頼されました

クランク角センサーコンバージョンキット発売直後に取付し、その後数台取付&セッティングを依頼され好評を頂いている商品なのですが、実はメーカーの営業の方をはじめ各所より質問と言うか、問い合わせを頂いています。例えば取付したけれどエンジン始動に至らない、クランキングの時間が異常に長い等。僕で出来る事であればとサポートをさせて頂いて原因を探ると、配線が間違っている、Vプロの設定が間違っていると様々です。もちろん取説にはしっかりと順序良く説明がしてありますし、取説通りにしっかり取り付けすれば問題になる事は有りません

原因は説明書通りの取付がされていない、ソフトの設定が正確にされていないという事になりますが、サポートをさせて頂いて感じるのが、何を触っているのか理解していないまま作業をされていると感じることが多くあります。「なぜそんな事知っているのですか?」ともよく言われるのですが、最初にこのクランク角センサーコンバージョンキットの取付を行った際に旧車でノーマルがキャブの車をインジェクション化&ダイレクトイグニッション化を行いフルコンでのセッティングのお仕事をさせて頂いた時の経験が大きく生きていると感じたのは事実です。1例を上げるとプルアップ抵抗。センサーが信号を読み取り、ECUが信号を認識する仕組みをよく理解していないまま取付をすると、説明書が意味している本当の注意点などを見落とす事になりますし、またECU(今回の場合はVプロ)の設定が何を意味し何を触っているのか理解しないまま設定を終わらせたつもりになっている等々です。そんな理由ではこのクランク角センサーコンバージョンキットは取付者、セッティング者を選ぶ商品と言えるのかもしれません。今回のお客様も他所で相談をされたそうなのですが、質問しても納得できる回答が得られなかったのでツァオバークラフトに相談された事がきっかけでのご依頼でした

お預かりの際に初めてお車を拝見しましたが、なんと500台限定の本物のニスモでした。リアワイパーのスイッチがない、本物のニスモだぁと感激

エンジンの仕様は事前にお伺いしていましたが、しっかりと仕様書も作成され持ってきていただいて、愛情を感じて所有されているのがしっかりと伝わってきますし、この仕様書があるとセッティングの前のデータ作成の際に非常に参考になります。手を入れてない所が無い位、全て行われています。こんなとっても大切にされているお車を託していただける僕は幸せ者です

コンピュータはノーマルECUレスのハーネスを使ってFコンVプロで制御されています

早速作業開始。まずはECU周りの配線がギボシ&エレクトリックタップなどで接続されていましたので、半田で接続しなおし、振動などによる接触不良の可能性を排除

VプロもVer3.4を購入いただきましたので、暫定のデータを作成し書き込みし、エンジンが問題なく始動する事を確認

クランク角センサーコンバージョンキットを取り付けの為にタイミングベルト周りを取り外し

クランク角センサー取付の為にオイルポンプの一部を加工、取付

タイミングベルトを取り付け

カバーを取付し

クランクプーリーボルトも規定トルクでしめて

エンジンルームのセンサーから室内のVプロまで配線

レポートの写真だと一瞬ですが、取り回しなど色々と考えながら、結構な時間をかけて取り回し、接続しています

ラジエターを取付し、クーラントを入れて

あっけなくエンジン始動

セッティングの為にダイナパックへ設置

軽く回してみると… あれ?    後輪しか駆動を伝えてません。 FRになっています。お客様へご連絡すると、気が付いていませんでした。一緒に修理をお願いしますと言われます

色々と調べると、ETSソレノイド系統の異常と分かり、そこに的をしぼって調べていたら、断線個所を見つけ断線を修理すると無事4駆に戻りました。お客様も気が付いていなかった不具合を発見できたのはダイナパックのおかげでもあり、しっかり4個のダイナパックを設置した事。ダイナパックを4個取り付けるのは大変ですが4個設置する事で吸収出来る馬力も増えますし、この様にエンジン以外にも駆動系統などシステムを含めて車両全体の診断、不具合を発見する事が可能となります。ダイナパックには色々な機能があり、一般的にはパワーチェックの道具と捉えられている様に感じますが、パワーチェックのモードはおまけの様な物で本当は車両の診断装置なのです。走っている状態を色々な負荷をかけ再現し、ビックリする様な精度でログをとれます。そのログをオペレーターがしっかりと診る事が出来、判断できるとしっかりとした診断が出来ると言う事になります

しっかり4駆になりましたので、セッティング開始

何度もエンジンを回し、いいとこを探っていくと、ビッグシングルらしいパワーカーブを描きます

ダイナパックのセッティング後は実走での手直しをして全ての作業は終了となりました。実走をした感想はこんな激しい仕様なのに乗りやすい、これならお客様も満足していただけるだろうと感じ肩の荷がおり一安心

作業終了のご連絡を差し上げ、お車受け取りにいらしたお客様に殆ど事前の説明なしに(先入観を持って運転をして欲しくない為)試運転をしていただいて、お店に戻ってこられたお客様。表情をみたらとっても満足されている様子がすぐ分かるくらいニコニコされていました。第一声は「普通になった。とっても乗り易い。びっくりした、全然ギクシャクしない」でした。試運転前に僕がお話ししたのは、「今日は1度もエンジンかけてません。かけたらすぐ乗ってください。暖機運転はして欲しいですが、暖機アイドルはして欲しくないです。走りながら車全体を温めてください。では、暴走しない様に気を付けて乗ってきてください」でした。お客様は「温まらないと乗りにくいですよ、ギクシャクします」と言われますが、「大丈夫です。乗れますから、暖機運転はしてくださいね。温まるまでは特にやさしく運転してくださいね」こんなやり取りの後、試乗にいかれました。

戻ってこられたお客様は本当にうれしそうな顔をされていました。作業前にお話は伺っていましたが、実はこのエンジン、お客様ご自身で組まれたエンジンなのです。自分で組んだエンジンの車に乗って気持ちよく走られた瞬間は感慨深いものがあっただろうと想像します。たくさん対面でもお電話でもお話しさせていただきましたが、BNR32愛にあふれた方なのは本当に伝わってきました。同じ様にGT-R、RB26に魅せられた一人としてお客様にいい思いをして欲しいと感じたのも事実です。そして試乗を終えられ帰ってこられたお客様の表情をみたときのうれしさは、僕の宝物です。これからは32GT-Rニスモたくさん乗ってあげてください。遠方よりご依頼、本当にありがとうございました

 

 

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