ZK通信

トヨタ MR2 SW20 Vpro取り付けセッティング

何の前触れもなく、それは突然起こりました

ドライビングスクールで参加者の殆どが疲れて休憩をしている中、時間も迫ってきましたし、終了にしましょうか?なんて話をしている最中も

本当に最後の最後まで元気ですね、疲れませんか?って言うくらい元気に楽しそうに走られていたMR2。終了ミーティングも終わり、解散になり、楽しかったですね。では帰りましょうとなった時、エンジンがかからなくなりました。ツァオバークラフトのお客様は整備士や機械の専門家が多く、みんなでMR2を取り囲んであーでもない、こーでもないと限られた工具などで色々調べます。燃料がきてないのでは? HSRさんにテスターやバッテリーを借りたりしながら、調べると燃料ポンプはしっかり回っていることを確認まではしましたが…. 結局は原因がその場では分からず、次の日に積載車でお車をZKに搬送する手配をし、その日は解散となりました

翌日お店に積まれて運ばれてきたSW20。変な音もしていなかったし、大丈夫だろうとは思いつつ、基本をしっかり確認しないと最後で実はエンジン本体でしたみたいな事になるのはアルアルなので、まずは圧縮測定。予想通り全く問題なし。

圧縮測定の為に取り外したプラグは真っ黒でススだらけ。一つ気が付いたのが、アクセルを全開近くに大きく開けながらセルを回すと、何とか始動し、マフラーから黒煙がモクモク、非常に調子悪そう。う~ん…? ダイアグコードを調べると、イグニッションエラーとO2センサーエラーが出ています。お客様に報告させていただいて、イグナイターとO2センサーを交換せていただく事にしました

部品が届き新品のイグナイターを取り付け O2センサーも新品に交換。エラーコードを消去しエンジン始動。チョットだけそんな気はしていましたが、残念ながら症状変わらず。そしてエラーコードは出なくなりました。エラーコード出ないってこんなに調子悪いのに… マフラーからの黒煙の出かたから燃料リッチなのは間違いない…はずと思いながら、空気が足りない? 試しにエンジンかかったままブレーキのバキュームホースを抜いて強制的にエアーを吸わせるとアイドリングでは直ったってくらい普通になります。もちろんその状態でアクセル踏んでもボコボコとなって吹け上がりませんが…  燃料リッチなのは間違いない。強制的に空気を入れると帳尻は合うけれど、スロットルを開けて空気の量が変わると変化に対応できない。犯人が絞り込まれてきた気がします

怪しいのはエアフロセンサー(3SGTEは純正がDジェトロなので一般的には吸気圧センサー)。部品の値段を調べると1万円弱、早速注文を入れると、なんと製造中止廃版、在庫なし。困りました。中古を調べると、全く同じ物はなく似たような品番の物が新品以上の価格。原因と断定できたわけではなく、ちゃんと動くかわからない中古に数万円は出せません。困りました。数日考えた結果、故障診断にHKSのVプロを使った方が早いのでは?とチューニングばかりをしているツァオバークラフトならではのアプローチをすることにする事にしました

最近は受注生産のHKSーFコンハーネス。SW20用は幸運な事にHKSに在庫がありました。即注文し、お店で持っているVプロを取付し診断すると

エラーコード1(吸気圧電圧)と出ています。そこでいつもVプロを取付している時の様に、Vプロ専用の吸気圧センサー(テスト用にお店で持っている旧タイプ)を取り付けしエンジン始動すると、今まで何だったの?と言うくらい普通にエンジンがかかり、空ぶかしも全く問題なし。この事をお客様にご説明。今後もMR2を乗っていきたいし楽しんでいきたいので、Vプロをつけて修理?をしましょうとなりました

と言う事でVプロ専用の新品のセンサーを体裁を整えながら取り付け、Vプロも新品を取り付け

その後はいつもの現車セッティングとなるのですが

診断をしている時に、今回の故障の原因とは全く関係ないのですが、ファンベルト、エアコンのベルトの張りが弱く、エンジン始動するたびにキーキー鳴いていたベルトもしっかり張り直し。ファンベルトの張りはHzメーターを使って管理しています。ベルトの張りは一定の力で押して何ミリたわむみたいな張り方が一般的かとは思いますが、この方法だと作業者でばらつきが大きい欠点があります。また以前からベルトを指で弾いて周波数を表示するマイクを使ったHzメーターなども出ていたのですが、それだと風の音や周囲の音を拾って正確に測定できない等問題がありました。その点写真のHzメーターはクリップ式でベルト中央部にセンサーを取り付けし、ベルトを指で弾くと周波数を測定してくれるすぐれ物。これだと作業者でのばらつきが少なく、安定して高い精度の整備が約束されます。この様にベルトを張るという事が実は奥が深かったりします。ベルトだけに限らず、そのような意識をもって整備する、チューニングをするのはとっても大切だと感じていますし、その結果は必ずお客様がお車乗られた時の感想、評価につながります

また真っ黒くススで汚れていたプラグはセッティングの前に新品に交換しています。この様にセッティングの前にはツァオバークラフトの視点で点検を行い、不具合のある所は修正、修理を行っています

その後はいつもの様にダイナパックに設置をし、現車でセッティングを行い、Vプロのデータ作成を行いました

ダイナパックでのセッティング終了後は実走での手直し&確認を行い作業終了。

お車を引き取りにいらしたお客様にはいつもの様に事前の説明なしに試運転をして頂きました。今回は修理が目的でのVプロの取り付けセッティングの為、エアクリーナーもノーマル、その他一般的にチューニングパーツと言われるものは一切取り付けしていません。そんな中でVプロを付けただけの車両をお客様がどう評価されるのか?個人的にはとても楽しみでした。結果はブーストがかかるまでの所が非常にスムーズになってます。この年代の車全般がそうなのかもしれないですが、いわゆるドッカンターボ的な特性だったエンジンが下のトルクが増してますね、ブーストがスムーズにかかるというか下から上まで気持ちよく、扱いやすくスムーズに回転が上がっていきます。と終始ニコニコされていました。そんなお話をうれしく感じながらお聞きしていて、何馬力になりますか?とVプロの相談を頂いて、実際作業をさせて頂くと、何でブーストかかってない所がこんなに速くなっているんですか? 何故、こんなに気持ちよくエンジンが回るんですか?とピークのパワーの話をされなくなり、過渡域の話しかお客様がしなくなる事がとても多かった、20年くらい前の事を思い出しました。お店を始めたばかりの頃にセッティングをせて頂いたお客様によく言われていた言葉でした。その頃からすると今のVプロはモデルも変わり更に処理の能力は上がっていますので、もっと効果を感じて頂けただろうと思います。それと僕自身のコンピューターセッティングに対する基本的な考え方、捉え方の様な物は変わってはいないつもりですが、ダイナパックを使い、多くの車をセッティングさせていただいて見えた事が反映され、チョットだけセッティングの腕の様な物が向上した事もあるのかな?なんて思ったりしました。これからもこの結果に満足することなく、もっと良いセッティングができる様に頭も腕も鍛えようと思った、お仕事でした。また古い車両で純正のセンサー等が廃版になり純正での修理が困難な車両を現代のフルコンで蘇らせるアプローチは面白くもあり、十分対応可能と言う事が証明されたお仕事でもありました。お客様にはクルマの仕上がりもとっても喜んでいただけましたし、とってもうれしくもありました。 これからもMR2楽しんでください。 一緒にオートポリスを走れる日を楽しみにしています。ご依頼ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

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