ZK通信

NISSAN SKYLINE HR34改 F-CONVPro仕様

中古で購入した車がまともに走れなくて調子が悪いので診てもらえませんか?とお電話いただきました  お話を伺うと約1年前に購入した車はスカイラインでエンジン換装してありFコンⅤプロがついていますとの事でした

ご来店頂いてお車見せて頂くと、思っていたよりひどい状態と言うか、よく乗ってきましたね(^_^;)って感じでした  ただお話し伺うとミレニアムジェイドのスカイラインに憧れて、走っている自分の姿を思い浮かべて頑張ってこの車買ったんだろうなと言う事が容易に想像できましたので、スカイラインを嫌いになって欲しくない、スポーツカーを嫌いになって欲しくない、走るって楽しんだって事を体験して欲しいという想いで、お仕事させていただく事になりました

お車ざっと見ただけで???って感じの所だらけでしたが、そのうち分かるでしょって始めは軽い気持ちでしたが、お預かりして本腰入れて見てもこれが分からないんです(;一_一)  軽く説明すると車両はHR34(2000cc AT) それにおそらくER34の2500ccエンジン、5速ミッション、デフを乗せて、BNR34のサージタンク、6連スロットルを取付けしエンジンハーネスはBNR34になっていて、その3つの型式の配線を純正でつなぐのは大変だったのかノーマルECUレスでHKSのFコンVプロのみで駆動されています その他はHKSのRSタービン、前置きインタークーラー等々 純正ノーマル(HR34)から排気量が変わったり、AT→MTになっているので改造申請して車検証は改となっていますが、まともに走りません

この時点でHR34、ER34、BNR34、FコンVproと4つの配線図が必要でそれらとにらめっこが確定です

 

配線はギボシとエレクトリックタップだらけ、絶縁処理もちゃんとされているか怪しい所がいっぱいです 配線がカプラーに刺さっていれば配線図から何の配線か把握が出来るのですが、純正のカプラーは切り取られ直接繋がれていますので、正しく繋がれているのか間違っているのかの判断をする為には1本1本テスターで調べるしかありません 時間のかかる気の遠くなる作業を覚悟させられます

寝ている間にこびとさんが作業をしていてくれるといいのですが、そんな訳ないので地道に1本1本 本当に少しずつ前に進みます?

そんな事を数日していると飽きてきますし、一向に進んでいる感じがしません  気分転換が必要です  考えた結果間違っていてもいいから、ギボシ、エレクトリックタップを外して、しらみつぶしに半田でし直さない?と言う心の声に従って方針転換

 

半田に明け暮れる日が数日 気の遠くなる作業をしていると、絶縁がされていない、繋いでもいないむき出しのギボシを多数発見

よく今までショートして燃えなかったよねって感心しながら作業していると、燃えなかったのってヒューズが飛んだからなんじゃない?って心の声が聞こえたので、ヒューズを見てみると

飛んでいました、エンジンコントロールのヒューズが2個とも  新しいヒューズを入れたい所ですが今の配線だとショートしてまたヒューズが飛ぶのが目に浮かぶので、グッとこらえて、半田の作業を継続する事としました

エンジンの制御に使われている配線のギボシ、エレクトリックタップは半田の配線に置きかわり、絶縁が怪しかった部分は処理をし直して、ヒューズを入れると飛ぶことはなくなりました

Vプロはロックがかけてありましたので、分かっている情報から仮で作ったデータをリセットして入力

エンジン始動

 

無事?始動しましたが、アイドルが1500回転から下がりません スロットルが開きっぱなしなのかとチェックしますが問題なさそう  エアー吸ってる? 色々と頭の中で自問自答 エアバイパスバルブが開きっぱなし?と言う事で、繋がっているエアが流れる配管を工具でつまんで強制的にエアを遮断するとスーッと1000回転まで下がります。 エアバイパスバルブで間違いないようです エアバイパスバルブが壊れてるんだ、明日注文しーよぉって思って次の日、今までの経緯、車の状態をよく考えると配線つながってないんじゃないの?ってこびとの声がきこえたので、テスターで調べると電気が来ていません

純正の配線図によると燃料ポンプリレーから分岐している配線がエアバイパスバルブにつながっていますので、トランクからエンジンルームまで配線を引くことが決定

なるべく純正の配線と同じになる様に丁寧に配線をエンジンルームまで通します

エアバイパスバルブに配線接続してエンジン始動するとファーストアイドル後、純正の様にエンジン回転数がゆっくりと下がる様になりました  危うく壊れてもいないエアバイパスバルブの新品を注文するところでした  ファーストアイドルが働いて回転がスッと下がる、たったこれだけですがとってもうれしい瞬間です

ここまで来ると何となくセッティング出来るかな?って気になってきますが、これだけ診ていると第6感が働いて、おそらくこのエンジンしばらく放置してたんじゃない?って気がして念の為と思ってタイミングベルトカバーを外すと

見事にタイミングベルトが全周ひび割れています  セッティング中にベルトが切れてエンジンお釈迦にするのは嫌なので、お客様にお話してタイミングベルトの交換作業も追加させていただきました

ウォーターポンプも交換して

エアフィルターやエンジンオイルも交換して

やっとセッティングの為にダイナッパクに設置

何故だか規格違いが使われていたプラグは規格通りのISOプラグに交換して

めいっぱい遅い側に振られていた点火時期調整用のクランク角センサーは調整して、きちんとVproとシンクロさせて

調整が終わったら触って欲しくないので 封印テープを張って

同じく燃圧も調整して、触って欲しくないので

封印テープ

 

少しずつダイナパックを回して、データを作成  

今まで配線が接続されずに動いてなかったNVCSを試しに止めてみると緑色のグラフ

NVCSやっぱすげーんだって感心しながら、一番いいオン、オフ回転数を探ってセッティングは終了

セッティング後プラグの状態を確認してすべての作業が終了となりました

 

お客様には出来上がったお車に試乗してもらいましたが、「例えがいいのか分かりませんが普通に乗れるようになっています。マフラーからパンパンいいません。ギアを入れて長い坂道下るとガクガクなってたのでニュートラにして下っていたのですが、普通に下れるようになってます。 アクセル踏んだらスーって滑らかに回転が上がっていきます。 別の車になりました。 スカイラインって本当はこんな車なんですね」 と戸惑いながらもとっても喜んで頂きました。

配線との格闘は心の修行の様でしたが、仕上がってみると綺麗にまとまりましたし、セッティングも無事終わりましたし、お客様にも喜んで頂けましたので、作業した方としても苦労が報われた感がありました

途中作業の経過を見にご来店された際には常連のお客様ともお話され、是非サーキットも走ってみたいとの事でしたので、近い将来ご一緒出来る事を楽しみにしています

憧れて頑張って買った車で走る事が出来たら、もっと今のお車が好きになるだろうと思います 車検証に改がついているように世界に一台しかないお車ですから、大事にしつつ、楽しんで頂けたらと思います

ご依頼本当にありがとうございました

 

 

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