ZK通信
6.12022
なぜコンピューターチューニングが必要?
コンピューターチューニングでは一般的に燃調と言われるエンジンに入れる燃料の量とガソリンエンジンの場合 点火プラグが火花を飛ばすタイミング(点火時期)を調整します
コンピューターにも色々とあるのですが、ここでは近代の比較的新しめの車両の純正コンピューターをベースにしたコンピューターチューニングについてお話しようと思います
まず燃料に注目すると純正メーカーや年式によっても違うのですが、おおよそ2000年以降の車両ですと燃料メインマップという基本的な燃料の噴射量を決めているマップに対して補正を行う燃料補正値と燃料学習値の2つが燃料メインマップと共に重要な要素となります。 その燃料補正値、燃料学習値は年式が新しい車ほど、補正する量が大きく補正エリアも広くなっています。純正メーカーはクリーンな排気ガスを排出する為、燃費対策の為にこの様な制御を行っています。 この仕組みのお掛けで天気の変化(気温、気圧等)や運転の仕方の差(アクセルの踏み方の癖等)など条件が違っても一定レベル以上のクリーンな排出ガスと少燃費を純正は両立させています。
ただそれは車両が機械的に純正状態(ノーマル)での話であり、マフラー交換やエアークリーナー交換等チューニングが行われた状態には対応しません。 マフラーが抜けのよい物に交換された、エアークリーナーが吸気抵抗の少ない物に交換された等の状態を車は把握できませんので、あくまでも純正の状態のつもりで制御をします。その為燃料の補正値が大きくずれる事になります。また燃料補正値はキーオフで0にリセットされますが、同じ量の補正値が一定時間以上持続し続けると、バッテリーを外してもリセットされない燃料学習値として置き換えられます。この学習値は純正のフィードバック領域のデータを元にフィードバック領域以外でも引きずる形で高回転、高負荷の領域でも演算の元として使用されます。その為一般的なコンピューターチューニングと言われるコンピューター書き換えを行っても、燃料学習値の値を数%以内に収める様な処置をしないと、セッティングを行った際のメインのマップに対して、天気の変化や運転の仕方等によって大幅にズレが生じ、調子を崩したり、ある条件でエンジンが綺麗に吹けない、最悪の場合エンジンブローの引き金となったりします
画像はイメージとなりますが、近年の純正コンピューターがノーマルでマフラーやエアークリーナーを変更したり、ターボ車ですとブーストを変更したりと機械的な変更が行われると、低負荷領域のフィードバック領域だけでなく、フードバック領域以外の高回転、高負荷でもメインのマップに対して大幅な補正が入る事を可視化しセッティング前とセッティング後を図にしたものです。またフィードバック量が多く、フィードバックエリアの広い近年の車両になればなる程、車のエンジンに関するパーツを機械的に変更したのであればコンピューターチューニングは必要であり、メインの燃料マップはもちろんの事、燃料補正値、燃料学習値を意識した、データ作成、セッティングを必要とされます
ちなみに上の画像はエアクリーナーを社外の物に交換しアイドリングで暖機中の物ですが、赤枠内の燃料補正値が-10.1%、燃料学習値が0%となっています。この車両は暖機終了後最終的には燃料学習値が-13.7%付近で落ち着きました。この様な状態でエンジンを高回転、高負荷まで回すとフィードバク領域以外でもメインマップに対して大幅な補正が入る事になり、それが不具合の原因となります
これまでは燃料の話でしたが点火の制御に関しても近代の純正コンピューターはノックセンサーなどからの情報を元にフィードバック制御を行っています。 上の画像は中古で購入した車両の診断を行った際のログデータになりますが、赤線の部分のノック補正学習値が-3.4度となっています。 これはノックをノックセンサーが感知しエンジンブローの可能性が有るので、点火学習値としてマイナスの値を出力してエンジンを保護している状態を示しています。この車両は写真のグラフをよく見て頂ければ分かる様に常にマイナスの点火学習値が入っていました。 点火学習値がマイナスの値に振れる事で即座のエンジンブローは免れるていますが、ノックが出ているからマイナスの値が出力されている事になります。ノック(ノッキング)と言う言葉はエンジンに興味のある方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、ノッキングはエンジンに致命的なダメージを与えます。その様な状態が連続すると、みなさんが思っているよりも簡単にエンジンはブローに至ります。
また最適な点火時期は空燃比(燃料の量)で変わってきます。空燃比で最適点火時期が変わると言う事は、マフラーやエアークリーナーを交換すると、燃料学習値が変化しますので、点火のマップも書き換えが必ず必要となる事がご理解いただけるかと思います
お店を20数年経営していて感じるのですが、コンピューターのチューニングの必要性を感じて頂けない方、お金をかけるのがもったいないと考えている方が多いと感じます
上の写真はエンジンブローをしシリンダーブロックに穴があいたエンジンです。この様な事にならない様に、もしこうなるとエンジンの修理代も膨大な物になるのが目に見えるので、コンピューターチューニングの必要性をお客様にはお話させて頂いています
仮にコンピューターにお金をかけるのがもったいない、そんなお金はないと言わるのでしたら、純正ノーマルでお車乗って頂ければと思います。そうすれば純正はとっても良く出来ていますから、エンジンブローする事無く長い期間楽しいカーライフが送れると思います
少し愚痴っぽくなりましたが、少しでも多くの方が悲しい気持ちにならないよう、ニコニコして車に乗って頂けるよう願ってお店を経営させて頂いています