ZK通信

NISSAN SKYLINE GT-R (BNR32)2.8L T88-34D F-CONVPro仕様

過去の作業事例です。

車両はスカイラインGT-R(BNR32) 2.8Lビッグシングルタービン仕様。一般的に言う「フルチューン」です。遠く長崎からのご依頼でした。

このお客様とはご来店前の約半年、色々とお電話で問診させて頂きました。ご依頼の理由は他店でエンジン等ハードを作成、HKSのFコンⅤプロでセッティングを行ってもらったが、オートポリスでエンジンが吹けない時がある、街乗りの青信号からの発進の際に一瞬回転が上昇しない時があり、遅れて回転があがる、エアコンを入れるとアイドル回転数が600回転くらいまで落ちるときがあるが、Vプロで制御をするとこんな物なのか?という問い合わせからでした。その他色々と問診を進めていくと、ご本人が希望されているお車と現在不具合を訴えられているお車の仕様が合っていない事に気が付きます。金額をお伺いはしませんでしたが、多くのお金をかけて作成されているお車なのは容易に想像できましたので、本当の事をお伝えするか、どの様にお伝えするべきなのか悩みましたが、事実を知っていただく事も大切だろうし、嘘はつきたくありませんでしたので、本当の事をお伝えして、予算との相談をさせて頂きながら、可能な範囲でお客様が望んでいる方向に少しでも近づくようにハードの手直しと、Vプロの再セッティングをさせて頂きました。

取付けされていたVプロがVer4だったのですが、Ver4は配線の一部をセッティングする人が自由に好きな端子に割り当てることが出来るので、まずは何の線がVプロのどこに接続されているのか確認する作業からとなりました。Vプロの中身のデータは見る事が出来ないように鍵がかけてありましたので、データを見る事が出来ません。そこで手持ちのVプロに配線の位置だけ今の状態に合わせ私がつくったとりあえずのデータを入れて、症状が出るのか、元のVプロに戻した時にどうなるかの現状を探るデータ採りから始めました。

結果、ハードの面の取り付け後の調整、Vプロのデータの問題が濃厚に疑われましたので、お客様にお話しし、お客様が少しでも望んでいる仕上がりの状態に近づくようにハードの小変更、再調整をせて頂いて、Vプロのデータ作成、再セッティングをさせて頂きました。

正直私の中では満足出来るハードではありませんでしたが、与えられたハードで予算の範囲内では出来ることを一生懸命させて頂きました。

結果、仕上がりに関してはお客様はとても驚かれ、なんでそんなに上手なの? 粗を探そうと意地悪な運転をするけど全くなんともない。何年も悩んでいたのが嘘みたい。ノーマルの車みたいに乗り易い、しかも今までよりあきらかに速い、と大変喜んでいただきました。ただ本音を言えばハードの作成の時からしっかりアドバイスを出来ていればもっと楽しいお車に仕上がっただろうと思います。この様な仕様の車の方が停まってボンネットを開けている時の迫力はありますので、憧れる気持ちも分かります。でも車は自分で乗って走る物だと思いますし、走っている時に楽しい、気持ちのいい車の方が、より愛着がわくと思います。本当は車両作成前にお店側がどの様な所をどんな風に走りたいのか、しっかりとお客様と話をするべきだと思いますし、お客様の望んでいるステージと希望されている仕様が違う時には本当の事をアドバイスする事がお客様の為でもあり、お店の為でもあるとあらためて思い知らされた一台でした。

そうは言っても僕が真面目に心をこめて作業をしたのはお客様ご本人が一番感じてくれたようで、作業後約1年半になりますが今でも数か月に一度位のペースで定期的にご連絡を頂いています。何年も不具合が改善されず心が折れそうで売りそうだったお車に喜んで乗って頂いて、ビックリするくらい調子がいいですよと連絡頂けることが僕にとっては最高のご褒美です。その様なお言葉が次の仕事の励みになっています。

 

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